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BENIBANA :The Flowering Spirit

未踏の海原を越えて

〜フィンランドツアーの御報告と御礼〜

 多くの皆さまに応援頂きました2019年8月の国際交流プロジェクト、フィンランドでの舞台公演『BENIBANA –The Flowering Spirit』が、無事に終了致しましたことを御報告致します。

 日本とフィンランドの国交100周年記念事業として「エミール・セーデルクロイツ美術館(以下、美術館)」で実施される『Japonism Today「錯視芸術と日本の美」』の開催にあたり、東北の伝承文化の一つである「紅花」を主題とした舞台『詩劇 花はくれない(英題:BENIBANA The Flowering Spirit)』が招聘される事となった本事業は、計画当初、美術館での舞台公演のみの予定でした。

 しかし、現地関係者の御尽力によりポリ市文化ユニットから「PROMENADI HALL(8/22)」での公演オファーを頂く幸運に恵まれ、更にはラウレア応用科学大学教員の御支援によりヴァンター市の「Teatteri Vantaa(8/26)」での舞台上演の実現へと結びつきました。

 美術館での1回目(8/21)は「身体と美術の対話」をテーマに、地元ピアニストとフィンランド在住の画家Tatsuo Hoshikaとの共演によるライブ・ドローイング及び即興舞踊のコラボレーションを地域の方々に楽しんで頂きました。

 2回目(8/23)は、現地高校生70名余を対象にした「身体表現ワークショップ」と「東日本大震災をテーマにレクチャー及びパフォーマンス」を実施しました。普段は感情をあまり表に出さないフィンランドの高校生たちは、最初は戸惑っておりましたが、我々のリードで次第に身体が反応しはじめ、ピアノ伴奏にあわせて声を発しながら最後は大いに盛り上がり、地域の皆さまからも大喝采を浴びました。

 私が作詞した『この地球(ほし)に生まれて』の歌詞を美術館館長自らがフィンランド語に翻訳して下さり、最後に感謝を込めて御来館の皆さまへ歌のプレゼントを致しました。

 現地の方々との文化的な交流は我々の願いの一つでしたので、その実現に御尽力を頂いた美術館関係者には感謝の言葉もありませんでした。

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エミール・セーデルクロイツ美術館でのパフォーマンス

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PROMENADI HOLL/ポリ市での公演終了後

 8/22公演日の「PROMENADI  HALL」での本番前日は劇場の下見のみの予定でしたが、ホール側の御好意により、照明や音響等の仕込み時間を頂戴する事が出来ました。通常ではありえない、特段の御配慮であり、異国での舞台に臨む我々に対する特別な敬意が感じられる瞬間でもありました。

 本番日の舞台公演は、ホール関係者の友好的な対応とサポートにより、滞り無く全てが順調に進行しました。本編は日本語での上演でしたが、400名近いお客様が足を運んで下さり、言語の壁を越えた臨場感は演者と観客との間に特別な高揚感と一体感を醸し出し、カーテンコールではスタンディングオベーションで演者達を迎えて下さるお客様もおりました。言葉や文化の違いを乗り越え紅花絹布の美しさや身体を介した清閑なる日本美を御堪能頂けた様子が、観客の鳴り止まない拍手から感じ取れました。終演後、演者達がロビーでお見送りする際には沢山のお客様から温かな微笑みと感謝の言葉掛けを頂きました。中には演者達にハグを求める御年配の方もおりました。

 観客の表現力豊かな反応と無事にやり遂げた安堵感とで知らずに感情が揺さぶられたのか、言葉には表せない程の至福感に満たされました。民族や言語は違えども、互いに健闘を称え合うホール関係者の笑顔、また笑顔が、今回の国際交流の全てを物語っているようでした。

 最終目的地ヴァンター市では本番の前日、公演の実現に御尽力を頂いたラウレア応用科学大学の先生が、メンバー12名と共に「Teatteri Vantaa」の現場確認に同行して下さいました。公演前日に劇場の下見は出来ないと通達されていたのですが、現地での直接交渉の末に会場を見せて頂けるという予期せぬ幸運に恵まれました。その後、ラウレア応用科学大学構内を見学させて頂いた事も嬉しい出来事でした。

 

 8/26最終公演の本番日は、開演直前に劇場の非常ベルが鳴り止まないという事件が起こったり、開演中の移動に使う自動ドアが施錠されたりとハプニングの連続でしたが、演者たちが織り成す紅花幻夢な物語は、観客の温かな熱気と惜しみない拍手に包まれながら、何事も無かった様に終演の運びとなりました。カーテンコールでは、サプライズでお世話になった先生方が舞台に登壇され、我々全員に花束をプレゼントして下さいました。紅花絹布に彩られた舞台に、更なる可憐な華を添えて頂き感激の極みでした。最後の最後まで細やかなお気遣いの数々には、メンバー一同、感無量の思いでした。終了後もお客様は余韻を楽しまれるかの様に、いつまでも演者達との歓談を楽しんでおられました。

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Teatteri Vantaa/劇場前にて

 現地では毎日予期せぬ出来事の連続でしたが、フィンランドで御支援を頂いた方々を始め、美術家の星加民雄・達夫 御兄弟のサポートや盟友であるツアー参加者の結束と連帯により、楽しく、そして豊かに乗り切る事が出来ました。見果てぬ未踏の大海原への航海を決意した後に起きた小さな奇跡の数々は、何があっても前に進もうと決断した我々へのご褒美だったのかもしれません。

 フィンランドの人々は何処でも、何事に対しても寛大に接して下さいました。この大らかさや寛容さ、見知らぬ他者に対する心配りや文化芸術に対する理解の深さ、更には「良い事だから、やろうよ!」という単純明快な行動力や決断力、等々。そんな人々の大いなる豊かさから育まれた精神文化が、フィンランドという国の幸福度や教育水準を世界トップに押し上げる原動力になっているのだろうと感じました。

 このプロジエクトを通して、国際交流にとって大切なものとは何かを、その意味や意義深さを、沢山のフィンランドの方々から教えて頂く好機となりました。日本–フィンランド国交100周年にあたり、この度の舞台芸術を通した国際交流が、両国における文化的交流の一助になれたのであれば幸いに存じます。

 

 御支援を頂きました「スカンジナビア−ニッポン ササカワ財団」「東北福祉大学」を始め、「ポリ市文化ユニット」「エミール・セーデルクロイツ美術館」「ラウレア応用科学大学」「東北芸術工科大学」、そして全国の皆様から頂戴した御厚情には、「良い事だから、やろうよ!」というフィンランドの精神文化に通じる感性や国際性を感受させて頂く素晴らしい機会となりました。今回の国際交流で得た貴重な経験則を、必ずや次ぎなる未来を担う子ども達や若者達に繋げていく所存でございます。

 この度の御支援、御声援、皆様誠に有難うございました。

 

2019年12月

一般社団法人 地域舞台創造I’Ms代表理事

三木弘和

フィンランドツアー・ドキュメント

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Promenadisalissa japanilainen teatterinäytös - koe poikkeuksellinen näytelmä maksutta

(プロムナードホールにて、日本の演劇ショー-無料で特別な演劇を体験)

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2019年10月〜12月にかけて、ご声援を賜りました皆様へフィンランドツアーの報告会を札幌・仙台にて計3回実施しました。

(写真はI'Ms Studioにて2019年12月に実施した報告会の様子)

“BENIBANA :The Flowering Spirit” 

スカンジナビア・ニッポンササカワ財団

〈文化交流分野〉2019受賞

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 日本とフィンランドの国交100周年記念事業として「エミール・セーデルクロイツ美術館」で開催される『Japonism Today「錯視芸術と日本の美」』プロジェクトの開催にあたり、東北の伝承文化の一つである「紅花」を主題とした舞台『詩劇 花はくれない(英題:BENIBANA The Flowering Spirit)』が招聘される事となった。    

 東北を背景とした『詩劇 花はくれない』は、東北の心に深く寄り添う芸術性の高い舞台創作を志向しており、紅花が織り成す百花繚乱の物語は、展覧会テーマである「錯視芸術と日本の美」に通ずる「日本美と幻視の宇宙」を創出する。

 この度のプロジェクト参画は、舞台芸術による日本美の伝承と震災以降の東北の底力を牽引する国際交流として、日本とフィンランドの国交100周年記念事業に相応しい文化事業の実現を目的としている。

紅花が繋ぐ様々な御縁が海をわたり、東北発信の文化・芸術がより広い世界に繋がり広がる事を願って止まない。

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エミール・セーデルクロイツ美術館主催

『Japonism Today』より招聘
EXHIBITION "Japonism Today"
Organizer : Emil Cedercreutzin museo/FINLAND

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フィンランド公演スケジュール

8月21日(水)

ダンスパフォーマンス&ペインティング/I'Ms & Tatsuo Hoshika

会場:EMIL CEDERCREUTZ MUSEUM

8月22日(木)

"BENIBANA:The Flowering Spirit"

会場:PROMENADI HALL / Pori

8月23日(金)

ダンスパフォーマンス&ペインティング/I'Ms & Tatsuo Hoshika

会場:EMIL CEDERCREUTZ MUSEUM

8月26日(月)

"BENIBANA:The Flowering Spirit"

会場:Teatteri Vantaa

後援:ラウレア応用科学大学

戯曲      森山 明子(Akiko Moriyama)

演出      三木 弘和(Kowa Miki)

監修      辻 けい (Kei Tsuji)

出演者

語り部・染織人 三浦 宇流(Uryu Miura)

遊女      坪田 知紗(Chisa Tsubota)

旅人      小林 由佳(Yuka Kobayashi)

俳人      横山 昌範(Masanori Yokoyama)

傀儡師     伊藤 景子(Keiko Ito)

黒衣      吉田 和子(Kazuko Yoshida)

花人(声)   三木 弘和(Kowa Miki)

技術スタッフ

照明      鵜飼 啓三(Keizo Ukai)

音響      戸村 匡志(Tadayuki Tomura)

舞台監督    影浦 操 (Soh Kageura)

助成:スカンジナビア・ニッポンササカワ財団、他

The Scandinavia・Japan Sasakawa Foundation | grants etc.

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